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無人フォークリフト(AGF)の選び方 重要な8つの要素 – 最新技術と導入成功のポイント

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物流や製造業の現場で注目を集める無人フォークリフト(AGF: Automated Guided Forklift)。人手不足対策や生産性向上のための重要なソリューションとして、その導入が進んでいます。「2024年問題」として知られる労働基準法改正による時間外労働規制の強化も、自動化ニーズを加速させる一因となっています。本記事では、無人フォークリフトを選ぶ際の8つの重要なポイントについて解説します。

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1. 使用環境と要件の明確化

無人フォークリフト導入の第一歩は、自社の使用環境と要件を明確にすることです。これによって、最適な機種選定の基盤が形成されます。

作業環境の特性

まず検討すべきは作業環境の特性です。屋内専用か、温度条件はどうか、湿度や埃の多い環境かなどを明確にする必要があります。特に温度条件は重要で、一般の無人フォークリフトは0~40℃の環境で使用可能ですが、冷凍冷蔵庫のような低温環境で使用する場合は、マイナス25℃まで対応可能な特殊仕様が必要となります。湿度条件は10%~90%の結露のない環境で使用可能です。

荷役要件の把握

次に、扱う荷物の種類、重量、寸法を明確にしましょう。無人フォークリフトの可搬重量は1.0~3.0トン程度の範囲で機種が用意されており、倉庫内での一般的な荷物の重量を考慮し、将来的な拡張性も見据えて十分な可搬重量を持つ機種を選択することが重要です。

使用頻度と運用時間

24時間稼働が必要か、ピーク時の処理能力はどの程度必要かなども明確にしておくべきポイントです。無人フォークリフトは24時間連続運転が可能であるため、夜間や休日の無人運転による生産性向上が見込めます。

2. ナビゲーションと位置決め技術の選択

無人フォークリフトの性能を左右する重要な要素として、ナビゲーションと位置決め技術があります。現在、主に以下の技術が使用されています。

  • 磁気誘導方式
  • レーザーSLAM方式
  • レーザーリフレクタ方式
  • QRコード・マーカー方式
磁気誘導方式

床面に磁気テープや磁気棒を埋め込み、それを検知しながら走行する方式です。導入コストが比較的低く、確実性が高いものの、走行ルートの変更が容易ではないという制約があります。

レーザーSLAM方式

レーザースキャナーで周囲の環境を検知し、予め作成した地図と照合することで自己位置を把握する方式です。床面工事が不要で柔軟なルート変更が可能ですが、環境の変化に影響を受けやすいという特性があります。

レーザーリフレクタ方式

壁や柱などに反射板(リフレクタ)を設置し、それを検知して位置を把握する方式です。精度が高く安定していますが、反射板の設置工事が必要です。

QRコード・マーカー方式

床や壁にQRコードなどのマーカーを設置し、それを読み取りながら位置を把握する方式です。比較的簡単に導入できますが、マーカーの維持管理が必要となります。

現場環境や運用要件に応じて最適な技術を選択することが重要です。例えば、貸倉庫など床面工事ができない環境では、レーザーSLAM方式やレーザーリフレクタ方式が一般的に床面工事が不要という点で適しています。

3. 安全性能の確認

無人フォークリフトの安全性能は最優先事項です。以下のポイントをチェックすることが重要です。

障害物検知システム

無人フォークリフトには、走行中に障害物を検知して停止または回避する機能が必須です。最新の機種では、LiDAR(レーザーレーダー)やカメラなど複数のセンサーを組み合わせて安全性を高めています。

人検出機能

JIS D6802などの安全規格では、AGV(無人搬送車システム)全般を対象とした人検出手段として圧力検知装置(バンパー)やESPE(電気的検知保護設備)の設置が要求されています。これらは少なくとも走行方向の車両および搭載した荷の最大幅を超えて動作しなければなりません。

非常停止システム

緊急時に確実に停止できる非常停止ボタンの配置や機能性をチェックしましょう。また、システム異常時の自動停止機能も重要な安全機能です。

有人・無人協調作業への対応

有人フォークリフトと無人フォークリフトが共存する環境では、両者の安全な協調作業を可能にする機能が重要です。最新の無人フォークリフトでは、有人・無人運転の切り替えが可能な機種も登場しています。

4. 既存システムとの互換性

円滑な導入と効率的な運用のためには、既存のシステムとの互換性を確認することが重要です。

倉庫管理システム(WMS)との連携

無人フォークリフトが既存の倉庫管理システム(WMS)と連携できるかどうかは、導入効果を大きく左右します。API連携やデータ交換の方法について、事前に確認しておくことが重要です。

製造実行システム(MES)との統合

製造現場では、製造実行システム(MES)との連携によって、生産計画に基づいた効率的な物流を実現できます。システム間の情報連携の仕組みを確認しましょう。

他の自動化設備との協調

AGV(無人搬送台車)やコンベヤーなど、他の自動化設備と無人フォークリフトが協調して動作できるかどうかも重要なポイントです。メーカーによっては、複数の自動化機器を同一のシステムで制御できるソリューションを提供しているケースもあります。

情報セキュリティ対策

ネットワークに接続して運用する無人フォークリフトシステムでは、情報セキュリティ対策も考慮すべき重要な要素です。セキュリティプロトコルやリスク対策について確認しておきましょう。

5. メーカーサプライヤー選定

信頼できるメーカーやサプライヤーを選ぶことは、長期的な運用の安定性を確保する上で非常に重要です。

実績と信頼性

メーカーの実績や市場シェア、ユーザー評価などを調査し、信頼性を確認しましょう。特に先進的な技術を採用している場合は、その技術の実用性や信頼性を十分に検証することが重要です。

技術革新への対応

無人フォークリフト技術は急速に進化しています。選定するメーカーが最新技術をどのように取り入れているか、将来のアップグレードにどう対応しているかも重要なポイントです。

国内外のメーカー比較

国内メーカーと海外メーカーではそれぞれ特徴があります。国内メーカーはサポート体制の充実や国内規格への対応が強みである一方、海外メーカーはコスト面での優位性を持つ場合があります。自社のニーズに合わせて選定しましょう。

カスタマイズ対応力

標準製品では対応できない特殊な要件がある場合、メーカーのカスタマイズ対応力も重要な選定基準となります。特殊なアタッチメントや独自のシステム連携など、個別のニーズに対応できるかどうかを確認しましょう。

6. コスト効果の分析

無人フォークリフト導入の意思決定には、導入コストと期待される効果の総合的な分析が欠かせません。

初期投資コストの内訳

無人フォークリフトの導入コストには、機器本体の費用だけでなく、システム構築費、インフラ整備費(床面工事や電源工事など)、教育訓練費など様々な要素が含まれます。これらを総合的に把握することが重要です。

ランニングコストの試算

電気代、メンテナンス費用、ソフトウェアライセンス費など、運用に伴うランニングコストも事前に試算しておくべきです。有人フォークリフトと比較して、どの程度のコスト削減が見込めるかを検討しましょう。

投資回収期間の算出

初期投資とランニングコスト削減効果から、投資回収期間(ROI)を算出します。通常、無人フォークリフトの導入では、人件費削減、生産性向上、品質向上などの効果が期待できます。

非財務的効果の評価

安全性向上、労働環境改善、BCP(事業継続計画)対応力強化など、数値化しにくい効果も含めて総合的に評価することが重要です。特に労働力不足が深刻化する中、人材確保の困難さを緩和する効果は大きな価値があります。

7. 実地調査と試用

実際に機器を見て触れることで、カタログだけではわからない情報を得ることができます。

デモセンターの活用

多くのメーカーやサプライヤーでは、デモセンターを設けています。そこでは実際の機器を動かしている様子を見学したり、操作体験をしたりすることができます。積極的に活用しましょう。

実証実験の実施

可能であれば、自社の環境で実証実験を行うことをお勧めします。実際の使用環境での性能や操作性、既存システムとの連携などを確認することができます。

ユーザー事例の調査

同業他社や類似環境での導入事例を調査し、成功事例や課題などの情報を収集しましょう。メーカーやサプライヤーに紹介を依頼することも有効です。

現場作業者の評価

実際に現場で機器を使用する作業者の評価や意見を聞くことも重要です。使いやすさや操作性、安全性などについて、現場視点での評価を取り入れましょう。

8. アフターサービスと技術サポート

導入後の円滑な運用のためには、充実したアフターサービスと技術サポートが欠かせません。

メンテナンス体制

定期点検や緊急時の対応など、メンテナンス体制の充実度を確認しましょう。部品供給体制や保守契約の内容も重要なチェックポイントです。

トレーニングプログラム

導入時や定期的なオペレーター教育、保守要員の教育など、トレーニングプログラムの内容と体制を確認することも重要です。

テクニカルサポート

システムトラブル時の対応体制や、リモートサポートの有無など、テクニカルサポートの内容を確認しましょう。特に24時間稼働を想定している場合は、24時間対応のサポート体制があるかどうかが重要です。

システムアップデート

ソフトウェアのアップデートやバージョンアップの頻度と方法、費用などについても事前に確認しておくことが大切です。技術進化に伴う機能追加や性能向上に対応できるかどうかも検討ポイントになります。

まとめ 最適な無人フォークリフト選定のために

無人フォークリフトの選定には、使用環境や要件の明確化から始まり、ナビゲーション技術の選択、安全性能の確認、既存システムとの互換性、メーカー選定、コスト効果分析、実地調査、そしてアフターサービスの確認まで、多角的な検討が必要です。

特に重要なのは、自社の具体的なニーズに基づいた選定を行うことです。最先端の技術や高機能な製品が、必ずしも自社に最適とは限りません。導入目的を明確にし、必要十分な機能を持つ製品を選ぶことがコストパフォーマンスを高める鍵となります。

また、無人フォークリフト技術は急速に進化しています。AI・機械学習の活用や、より高度な自律走行技術の導入など、今後も技術革新が進むことが予想されます。将来の拡張性やアップグレード可能性も視野に入れた選定を行うことが、長期的な投資効果を高めるポイントとなるでしょう。

「2024年問題」をはじめとする労働力不足への対応策として、無人フォークリフトの導入は今後さらに加速していくことが予想されます。本記事で紹介した8つのポイントを参考に、自社に最適な無人フォークリフトを選定し、物流・製造現場の自動化と効率化を実現していただければ幸いです。

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