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AGFの方向識別技術

saaya

AGF(無人フォークリフト)は物流や製造分野で注目されている自動搬送技術であり、重量物の運搬を無人で行うことができます。その安全かつ効率的な運用において、方向識別技術は極めて重要な役割を果たしています。本記事では、AGFがどのように進行方向を認識し、正確に移動するのかについて解説します。

AGFによる方向識別の基本原理

AGFは搭載されたさまざまなセンサーと制御システムを使用して、自身の位置や向き、進行方向を把握します。自律走行を可能にしているのは、複数の技術要素が組み合わさった高度なシステムです。

方向識別において重要なのは、AGF自身の位置と向きをリアルタイムで認識することです。これには主に以下の技術が使われています。

  1. 移動方向や移動量を検出するエンコーダー
  2. 機器の角度や速度を計測するジャイロスコープ
  3. レーザーを用いた周囲環境の認識
  4. 各種センサーによる障害物の検知

これらの技術を組み合わせることで、AGFは自分がどの方向を向いているか、どの方向に進むべきかを判断します。

走行方式による方向識別の違い

AGFの走行方式によって、方向識別の仕組みは大きく異なります。主な走行方式と、それぞれにおける方向識別の手法を見ていきましょう。

磁気誘導式による方向識別

磁気誘導式AGFには磁気センサーが搭載されており、床に埋め込まれた磁気棒や磁気テープが発する磁界の大きさや方向性を検知します。このデータを基に、AGFは自身の向きと進むべき方向を決定します。

磁気の変化を検知することで、AGFは指定されたルートから外れていないかを常に確認し、必要に応じて進行方向を修正します。ただし、周囲に磁界への影響を与える設備や荷物がある場合、方向識別に影響が出る可能性があります。

光学誘導式による方向識別

光学誘導式AGFは、光学センサーや画像センサーを用いて床に貼られた誘導テープや反射板を感知します。センサーが検出した反射光のパターンから、AGFは現在の位置と向きを計算し、進むべき方向を決定します。

光学誘導システムでは、テープのラインに対する車体の角度も検出できるため、直進や旋回など、様々な動作における方向制御が可能になります。

レーザー誘導式による方向識別

レーザー誘導式AGFは、レーザー光を周囲の物体に照射し、反射光が戻ってくる時間を測定することで、物体との距離やAGFが向いている方向を特定します。

特に壁や柱に取り付けられた反射板からの反射光を分析することで、三角測量の原理により自己位置と向きをミリメートル単位で正確に認識します。この高精度な方向識別により、複雑な経路でも正確な走行が可能になります。

SLAM技術による方向識別

最新のAGFでは、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を採用して方向識別を行うものが増えています。SLAMでは、自己位置推定と環境地図作成を同時に行うことで、AGFの向きと進むべき方向を決定します。

SLAM技術には主に以下の種類があります。

  1. LiDAR SLAM:レーザーセンサー(LiDAR)で取得した周囲の点群データを基に、環境地図を作成し、その地図上での自己位置と向きを推定します。
  2. Visual SLAM:カメラで撮影された映像から、環境の3次元情報とAGFの位置・姿勢を同時に推定します。

これらの技術により、AGFは従来の誘導方式に比べて柔軟な経路選択と正確な方向識別が可能になります。

IMUとエンコーダーによる方向識別の精度向上

AGFの方向識別精度を高めるために、IMU(慣性計測装置)とエンコーダーを組み合わせた技術が広く利用されています。

IMUによる方向検出

IMUは加速度センサーとジャイロセンサーを組み合わせた装置で、AGFの3軸方向の加速度と角速度を計測します。これにより、AGFの姿勢(ピッチ・ロール・ヨー角)や動きを高頻度で検出することができます。

IMUの大きな強みは、自己完結型の位置推定(慣性航法)が可能なことです。加速度と角速度のデータを時間積分していくことで、直前までの位置・速度・方向から現在の推定位置と向きを計算できます。

エンコーダーとの併用

AGFの車輪に取り付けられたエンコーダーは、車輪の回転量と方向を検出します。このデータをIMUの情報と組み合わせることで、より正確な方向識別が可能になります。

エンコーダーとIMUを組み合わせることで、例えば床面の傾きや振動による影響を補正しながら、AGFが正確な方向を維持することができます。

方向識別のための複合センシング技術

最新のAGFでは、単一のセンサーだけでなく、複数のセンサー情報を融合させる「センサーフュージョン」技術が採用されています。これにより、より堅牢な方向識別が可能になります。

ジャイロ/エンコーダと2Dコードの併用

2Dコード誘導方式とビジュアルSLAM方式を併用したシステムでは、ジャイロセンサーやエンコーダと2Dコード読み取りを組み合わせて方向を識別します。これにより、周囲の景色による影響を受けずに正確な測位と方向識別を実現します。

GNSSとIMUの融合

屋外で使用されるAGFでは、GNSS(全球測位衛星システム)とIMUを組み合わせた方向識別技術も活用されています。GNSSが数cmの位置精度を提供し、IMUが路面の傾きや振動の影響を補正することで、精度の高い方向識別を実現します。

安全性を高める方向指示と表示

AGFが安全に運用されるためには、方向識別だけでなく、その方向を周囲に伝える機能も重要です。

方向指示器

AGFの走行中の進行方向側にLEDライトが点滅することで、周囲に進行方向を知らせる機能があります。これにより、人との接触事故を防止します。

前方障害物センサーとの連携

AGFの前方には障害物センサーが設置されており、進行方向に障害物を検出した場合には減速または停止します。このセンサーは方向識別システムと連携して機能し、安全な走行をサポートします。

パレット認識による方向調整技術

AGFの重要な機能の一つに、パレットの位置を認識して方向を調整する技術があります。

パレット認識機能

センサーを活用したパレット認識機能により、上下左右方向のパレットの位置ずれを検知し、それに応じて進行方向や角度を調整することが可能です。これにより、正確なパレットの積み下ろしが実現します。

AGFとパレットの角度調整

AGFがパレットに接近する際には、AGF本体とパレットの角度を正確に調整する必要があります。この角度調整は高精度センサーによって行われ、偏差角度は±1°以内という高い精度で実現されています。

まとめ

AGF(無人フォークリフト)の方向識別技術は、磁気誘導、光学誘導、レーザー誘導、SLAM技術など様々な方式があり、それぞれに特徴があります。さらに、IMU、エンコーダー、ジャイロスコープなどのセンサー技術を組み合わせることで、より精度の高い方向識別を実現しています。

これらの技術の進化により、AGFはより柔軟かつ正確に自律走行できるようになり、物流や製造現場での活用範囲を広げています。今後も技術の発展により、さらに高度な方向識別能力を持つAGFの登場が期待されます。

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