IoT(モノのインターネット)概念から実装まで

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)は、現代のデジタル革命において重要な技術基盤となっています。膨大なデータ収集と分析を通じて、ビジネスや社会に新たな価値を創出しています。本記事では、IoTの基本概念から構成要素、技術的特徴、セキュリティ、標準化の動向まで包括的に解説します。
IoTの基本概念と定義
IoT(Internet of Things)は「モノのインターネット」と訳され、読み方は「アイオーティー」です。これは従来インターネットに接続されていなかった様々なモノがネットワークを通じてサーバーやクラウドサービスに接続され、相互に情報交換する仕組みを指します。
国際電気通信連合(ITU-T)の定義によれば、IoTは「情報社会のためのグローバルインフラストラクチャであり、既存および進化する相互運用可能な情報通信技術に基づいて(物理的および仮想的な)モノを相互接続し、高度なサービスを可能にする」ものです。
従来、インターネットはコンピュータ同士を接続するためのものでしたが、IoTによって、センサーやアクチュエーターといった機器がインターネットに接続され、人間の手を介さずにデータを送受信できるようになりました。これにより、例えば、ドアの開閉状態や機械の状態、環境データなどの情報がリアルタイムで収集・分析できるようになっています。
IoTの構成要素
米国国立標準技術研究所(NIST)のSP 800-183では、IoTシステムの構成要素を次のように定義しています。
- Sensor(センサー):温度、加速度、重量、音、位置などを測定する機能・機器
- Aggregator(アグリゲーター):センサーからのデータを集約して処理する機器
- Communication channel(通信チャネル):データの送受信を行うための通信路
- eUtility(external utility):サービスを提供する/受ける機器
- Decision trigger(決定トリガー):データの加工や計算をするための機器
これらの要素が連携することで、物理世界のデータをデジタル空間に取り込み、分析・活用することが可能になります。IoTシステムは必ずしもこれらすべての要素を含む必要はなく、用途によって構成は異なります。
IoTの特徴と機能
IoTの主な特徴と機能には以下のようなものがあります。
- リアルタイムデータ収集と分析
IoTデバイスは環境、動き、位置などの情報をリアルタイムで収集し、インターネット経由でサーバーやクラウドに送信します。これにより、即時的な状況把握が可能になります。 - 自動化と遠隔操作
センサーからのデータに基づいて、システムが自動的に判断し、アクチュエーターを通じて物理的な操作を行うことができます。また、離れた場所からデバイスの状態監視や操作が可能になります。 - 相互接続性
様々なデバイスがネットワークを通じて相互に通信し、情報を交換することで、より高度なサービスが実現できます。 - データの可視化と活用
従来は埋もれていたデータを収集・可視化することで、新たな洞察や付加価値を生み出すことができます。
IoTの応用分野
IoTは他にも様々な産業分野で活用されています。
- データ収集・分析
モニタリング、予防/予知保全、作業効率化などにIoTが活用されています。 - 遠隔監視・制御
施設や設備の状態をリアルタイムで監視し、必要に応じて遠隔操作することが可能です。 - スマート環境の構築
建物や都市全体のエネルギー管理や、環境モニタリングなどに活用されています。
IoTのセキュリティと課題
IoTシステムには多くのセキュリティ課題が存在します。
- セキュリティリスク
多数のデバイスがネットワークに接続されることで、攻撃の対象となる範囲(攻撃表面)が拡大します。 - 標準化されたセキュリティ要件
NISTは「NISTIR 8259A」においてIoT機器のサイバーセキュリティ機能のコアとなるベースラインを定義しており、IoT機器製造業者向けのセキュリティ指針を提供しています。 - プライバシー保護
NISTは「NISTIR 8259A」においてIoT機器のサイバーセキュリティ機能のコアとなるベースラインを定義しており、IoT機器製造業者向けのセキュリティ指針を提供しています。 - 信頼性と回復力
IoTシステムは信頼性が高く、障害や攻撃に対して回復力を持つことが求められます。
IoTの標準化動向
IoTの普及に伴い、様々な標準化の取り組みが進められています。
- ISO/IEC 30141
「モノのインターネット(IoT)- リファレンスアーキテクチャ」として、IoTシステムの信頼性、安全性、回復力を保証するフレームワークを提供しています。2018年に初版が発行され、2024年に第2版が発行されました。 - IEEE P2413
IEEEが2014年に設立したプロジェクトで、業界を横断した相互接続性を実現するための共通の構造的枠組み(アーキテクチャル・フレームワーク)の策定を目指しています。 - NISTによるガイドライン
NIST SP 800-183でIoTの構成要素を定義し、NISTIR 8259およびNISTIR 8259AではIoT機器製造業者向けのセキュリティ指針を提供しています。
まとめ
IoTは、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノがネットワークを通じて情報交換する仕組みであり、私たちの生活やビジネスに大きな変革をもたらしています。センサーからのデータ収集、通信、処理、分析といった一連のプロセスにより、リアルタイムでの状況把握や意思決定が可能になります。
しかし、IoTの普及に伴いセキュリティやプライバシーの課題も顕在化しており、ISO/IEC 30141やNISTIR 8259Aなどの国際標準やガイドラインに基づく対策が重要です。今後も技術の進化とともに、より安全で効率的なIoTシステムの構築が求められています。
IoTは単なる技術トレンドではなく、私たちの社会のデジタル変革を支える基盤技術として、今後もさらなる発展が期待されています。
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