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マテハン(マテリアルハンドリング)の全容 物流業界における役割と進化

saaya

物流業界において、効率性と生産性の向上を支える重要な概念として「マテハン」が挙げられます。日常的に物流現場で使用されているこの言葉は、実際には何を意味し、どのような役割を担っているのでしょうか。本記事では、マテハンの基本概念から最新の動向まで、物流業界の文脈で体系的に解説します。

マテハンの基本概念と定義

マテハンとは何か

マテハンは「マテリアルハンドリング」(Material Handling)の略称であり、物流や製造現場における物品の移動・取り扱いに関する活動や技術の総称です。日本産業規格(JIS)では、「製造に用いる材料、部品、半製品などの物品の移動、搬送、取付け、取出し、仕分けなどの作業及びこれに伴う作業」と定義されています。

物流の視点では、商品や資材を効率的かつ安全に移動させる作業全般を指し、製造業では原材料から完成品に至るまでの物品の流れを管理する概念として捉えられています。

現場での使われ方

物流や製造の現場では、「マテハン」という言葉自体よりも、「マテハン機器」や「マテハン設備」として、物品を扱うための具体的な機械や設備を指すケースが一般的です。つまり、現場で「マテハン」と言った場合、物品移動の概念というよりは、それを実現するための道具や仕組みを意味することが多いのです。

作業指示においては「マテハンする」といった言い方はあまり使われず、具体的な動作(「運搬する」「取り出す」「仕分ける」など)で指示が出されるのが通常です。

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物流業界におけるマテハンの重要性

効率化への貢献

物流業界において、マテハン機器やシステムの活用は作業効率の大幅な向上をもたらします。重量物を簡単に移動できるフォークリフトや、商品を自動的に運搬するコンベヤーシステムなどの導入により、人力だけでは困難な作業も迅速かつ正確に行えるようになります。

これらのシステムは単に時間短縮だけでなく、物流プロセス全体の最適化にも貢献し、リードタイムの短縮や在庫管理の効率化といった多面的なメリットをもたらします。

安全性の向上

マテハン機器の活用は、作業員の安全確保にも大きく寄与します。重量物の持ち上げや反復的な動作による身体的負担を軽減し、労働環境の改善と労働災害の減少につながります。特に自動化されたシステムを導入することで、人が危険な作業区域に立ち入る必要性が減り、職場の安全性が高まります。

コスト効率の最適化

効率的なマテハンシステムの導入は、長期的な視点で見れば物流コストの削減に直結します。人員の最適配置が可能になるだけでなく、スペースの有効活用や在庫の適正化により、倉庫運営全体の経済性が向上します。

サプライチェーンにおけるマテハンの実装

物流のサプライチェーン全体を通じて、マテハンはさまざまな段階で重要な役割を果たしています。

製造段階での活用

製造プロセスの最初の段階では、原材料や部品を製造拠点に搬入し、適切に保管・管理するためにマテハンシステムが活用されます。特に生産ラインへの部材供給や、半製品の移動などに、効率的なマテハン機器が不可欠です。

物流センターでの運用

物流センターや倉庫内では、入荷した商品の保管場所への移動、ピッキング作業、出荷のための仕分けなど、多様な場面でマテハン機器が活躍します。こうした作業を効率化することで、物流センター全体の処理能力が向上し、納期短縮や精度向上につながります。

配送プロセスでの役割

最終的な配送段階においても、商品をトラックなどの輸送機関に積み込む際にマテハン機器が使用されます。効率的な積み込み作業は、配送効率に直結し、最終顧客への迅速な配送を実現する鍵となります。

主要なマテハン機器とその特徴

物流業界で使用されるマテハン機器は多岐にわたりますが、主要なものをカテゴリ別に整理すると以下のようになります。

積み込み・積み下ろし機器

フォークリフト

最も一般的なマテハン機器の一つで、パレットに載せた荷物を持ち上げて移動させるのに適しています。エンジン式や電動式など様々なタイプがあり、用途や環境に応じて選択されます。

パレタイザとデパレタイザ

パレタイザはパレットへの荷物の積み付け、デパレタイザはその逆の作業を自動化する機器です。機械式とロボット式があり、それぞれ特性が異なります。

運搬・搬送機器

AGV(無人搬送車)

人の操作なしに自動で走行し、設定されたルートに沿って荷物を運搬する車両です。近年ではAI技術を活用した高度な自律走行が可能なタイプも登場しています。

コンベヤシステム

ベルトやローラーを使用して、一定のルートで荷物を自動的に運搬するシステムです。生産ラインや仕分けセンターなどで広く活用されています。

保管関連機器

自動倉庫

商品の入出庫を自動化する倉庫システムで、限られたスペースでの効率的な保管と迅速な取り出しが可能です。在庫管理の正確性向上にも貢献します。

パレットと各種コンテナ

商品をまとめて保管・移動するための基本的なツールです。木製、プラスチック製、金属製など、用途に応じて様々な材質・形状のものが使用されます。

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マテハンの最新トレンドと未来展望

自動化とロボティクスの進化

物流業界におけるマテハン技術は、自動化とロボティクスの進化により大きく変わりつつあります。従来の単純な機械的自動化から、センサー技術やAIを活用した高度な自律型システムへと発展しています。特に倉庫内での商品ピッキングや仕分け作業において、ロボット技術の応用が進んでいます。

IoTとデジタル化の影響

モノのインターネット(IoT)技術の発展により、マテハン機器のネットワーク化が進み、リアルタイムでの稼働状況把握や遠隔操作が可能になっています。また、デジタルツインなどの技術を活用した物流施設の最適設計も進んでいます。

持続可能性への対応

環境負荷低減の観点から、電動化や省エネルギー型のマテハン機器への移行が進んでいます。また、物流施設全体のカーボンニュートラル化を見据えた設備設計も重要なトレンドとなっています。

マテハンと倉庫管理システム(WMS)の連携

マテハン機器と倉庫管理システム(WMS)の連携は、現代の物流管理において不可欠な要素となっています。WMSを通じて入出庫データや在庫情報をリアルタイムで把握し、マテハン機器の最適制御を行うことで、物流オペレーション全体の効率化が図られます。

特に大規模な物流センターでは、WMSとマテハン機器が一体となったシステムによって、人手に頼らない高度な自動化が実現されています。これにより、24時間稼働や柔軟な処理能力の変更が可能になり、多様な物流ニーズに対応できるようになっています。

まとめ

マテハン(マテリアルハンドリング)は、物流業界における物品の移動・保管・仕分けなどの作業を効率化するための重要な概念であり、それを実現するための機器やシステムの総称です。効率化、安全性向上、コスト削減といった多面的なメリットをもたらすマテハンは、現代の物流業界において不可欠な要素となっています。

フォークリフトやコンベヤといった従来型の機器から、AIやIoTを活用した最新のロボティクスシステムまで、マテハン技術は日々進化を続けています。サプライチェーン全体を通じて、マテハン機器やシステムの適切な導入・運用が、物流業務の効率化と高度化に大きく貢献しています。

今後も技術革新や社会環境の変化に伴い、マテハンの概念や実装方法は進化し続けるでしょう。特に自動化・デジタル化・持続可能性といった観点から、より高度で環境に配慮したマテハンシステムの開発が期待されています。物流業界における競争力維持・向上のためにも、マテハン技術の動向は常に注視すべき重要なポイントと言えるでしょう。

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